婦人科での実習の話の続き。そんな怖い外来での様子を見学した1週間後。続いては、出産直後の妊婦さんとの関わり。外来に続き、1週間しか関わることができないが、運が良ければ出産に立ち会うことができる。しかし、私たちがいる朝から17時くらいまでの間にタイミング良く陣痛が来ることは少なく、ほとんどの学生は出産に立ち会うことなく実習を終えることとなっていた。しかし、私は運が良いことに、実習の時間内に陣痛がおき、分娩室へ見学に行くことになったのです。

もちろん周りの友人に出産を経験している人はいなかったし、親戚だって出産後に会いに行くため、お産のシーンに立ち会えるなんてすごい経験だと、単純に嬉しかった。周りの実習の仲間たちも、うらやましそうにしていた。お部屋に行くと、テレビで見ているような、とても苦しそうな表情をした妊婦さん。旦那さんも立ち会うらしく、そばであたふたしている。私は全く関係のない人間で、大変な出産の場に立ち会わせていただけるだけで光栄なことだ。関係ない人間だからこそ、黙って遠くから見学だけをさせていただくのが正解なのかもしれないが、あんなに苦しそうな表情で、ベッド上で身の置き場がないように動き回っている人をみると、できないながらも何かしてあげたいという気持ちになる。

私にも何かできることがないかな・・と思いながらも、旦那さんがいる手前、私が出しゃばるのもなぁと思い、何もできずに過ごしていました。せめてもと思い、顔の汗をハンカチで拭くことだけはしていました。そばにいいる旦那さんも、きっと同じ気持ちだったのではないだろうか。苦しむ妻に何かしてあげたいと。旦那さんは緊張しながら「はい。冷たいお水だよ。飲んでね。」と声をかけました。すると、ずっと話もせず、唸り声だけあげていた妊婦さんが「そんなの飲んでる余裕なんてないわよ!」と怒鳴りました。旦那さんも固まっていましたが、私も同じでした。余計なことしなくて良かったなと思ってしまったし、これからも余計なことはしないでおこうと思いました。

あの時は苦しいのはもちろんわかるけど、旦那さんにあんな言い方しなくても・・と思っていました。でも、前回の話と同様に、30代になると女性は我慢がきかなくなってくるし、強くなる。きっと私も、周りから何か言われたら「何も言わなくていいから、背中摩るぐらいしたら!」と怒鳴ってしまうかもしれないなーと思ってしまいます。